◆◆◆自分磨きで女性の幸せを引き寄せる♪花屋さんのマイストーリー(全11話)◆◆◆
母の日が無事終わり、しばらく余韻にひたっていた私ですが、
あらためて考えてみると、私には先輩を超えてまで上に上りつめるという野心がないなと感じていました。
トマムさんに「頭角をあらわせよ」と言われたことがふと頭をよぎったのです。
先輩の努力を知っていたし、先輩たちの作るものが素敵で私は好きでしたし、自分自身の野心よりも、お客様に喜んでもらえることが何より私の原動力だなと思っていたけれど、もっとたくさんのお客様に喜んでもらえるような何かが必要だな、そんな野心も必要だなと思っていました。
そしてそんな複雑な思いを抱えているときに目の前に現われたのがポールスミスさんでした。
その日、会議室に遅れて入ってきたポールスミスさん。
(うわ~チャラそうw何でこの人がカリスマって呼ばれてるの?目合わせないでおこうw)
とまで思ってしまう失礼な私でした。
チャラいだけの人が嫌いなので出来れば関わりたくないぐらいの気でいたのでした。
ポールスミスさんは都会的な洗練されたセンスの持ち主で、いかにも遊び慣れてそうな雰囲気でした。
でも会議の内容を聞いていると、若いのに、なんか威厳がある感じで話に惹き込まれていました。
(この人、何者?)
会議から戻り、私もお店のリーダーとして、お店には良い印象を持ってもらわなくては困るので、ポールスミスさんには大人の対応を心掛けなければ!と思い直し、いったいどんな人なのか、まずは社内のフォーラムのような場を覗いてみることにしました。
ポールスミスさん「〇〇さぁ~~~ん☆よろぴこです☆」
私「・・・」
ポールスミスさん「お客さんとたわいもない話するの得意だしぃ~~☆」
私「・・・」
ポールスミスさん「いやぁ~~~長々と書いちゃいました!!」
私「・・・」
そこにはこんな感じのとてつもなく軽快で軽妙な楽しいトークが繰り広げられていましたw
会社の上下関係、関係なし?w
見た目通り(-_-メ)
どの辺がカリスマなの?
しかし読み進めていくと、ものすごく人が変わったようにディスプレイについて真面目に書いてあるものがあったので読んでみると、、
「VMD(ビジュアルマーチャンダイジングの略)」
視覚的な販売計画。
私はそれまでディスプレイをちゃんと勉強したことがなくて、自分の感覚的なものを頼りにやっていました。
VMDとは「感覚」で行うものではなく、お客様に興味を持っていただくための「しくみ」。
- VP(ビジュアルプレゼンテーション)
- PP(ポイントオブプレゼンテーション)
- IP(アイテムプレゼンテーション)
ポールスミスさんはこのことについて、実例を元に詳細に説明してくれていたのでした。
(すごい、、これ、ポールスミスさんが書いたの?ディスプレイって深い、、)
見た目はチャラいけど中身は真面目で熱い人でもあることが、このことで理解できるのでした☆
そしてある日、ポールスミスさんから、お店に一通のメールが届くことになります。
「ディスプレイ周りの件」
と称して二泊三日で、当時からお花屋さんの憧れ♪でもあったNicolai Bergmann(ニコライバーグマン)、FUGA(フーガ)、ブケオブケ、Matilda(マチルダ)、ゴトウフローリスト、プレジュール、青山フラワーマーケットなどなど、とにかく東京中のおしゃれなお花屋さんを視察するというスケジュールが届いたのです。
そこには先輩リーダーと私、他県から3人の合計5人の名前がありました。
(お花屋さん巡りは楽しみだけど、、かなり不安!!(-_-メ))
そしてついにその日が来ることになるのです☆
早朝、先輩リーダーと一緒にワクワク、ドキドキしながら新幹線に乗りました。
まず本社に集まり、そこからポールスミスさんの案内で電車と歩きで東京中を一周したんじゃないかと思うくらい、とにかく歩き回りました。
東京のお花屋さん巡りは本当にとっても楽しかったです(*^^*)
しかし、
まだポールスミスさんに対して「チャラ男」のイメージが抜けていなかったので、一番遠い距離感を保ちつつ、空気のように存在感を消しておこう♪と思っていたのですが、ある些細なことが私の怒りを買うことになります(-_-メ)
この日、私のお店の名前を間違って呼んだ適当なチャラい態度に、大人げなく腹が立ち、
「違います!!〇〇店のアユ美です(-_-メ)」
と語尾を強めて、笑ってるけど目は笑ってない風に言ったところ
「えっ、、?あ、すみません、、」
と怪訝そうな、不思議そうな顔で驚かれました。
たしかに私も言ってから、なんでほぼ初対面の、しかも上司であるポールスミスさんに本気で怒ったんだろう!?と恥ずかしくなったのですが、周りのみんなが笑ってくれたので丸く収まりましたw
私の名前を間違うことはいいのですが、お店の代表の一人として行ったので、お店の名前は間違って欲しくなかったのと、どんなお店なのかをちゃんと知っておいて欲しかったのです。
でも後日談になりますが、前の店長やビオラさんに
「アユ美さんに怒られた♪♪」
と言いふらされ、
「聞いたよ~!ポールスミスさんに怒ったんだって?」
とみんなに知れ渡ることになります(-_-メ)
しかし、このときからポールスミスさんは私に限らず、他の人の名前も間違わないようになった気がします♪
お花屋さん巡りの最中、ポールスミスさんから何度かみんなに質問を投げかけられました。
ただ楽しいだけ、ではもちろん終わらせないように、視察で来ているわけですから、何を学んで現場に持ち帰るのか?
しかし、ひとつ誰も答えられない質問がありました。
男性と女性の視点の違いというのもあるのでしょう。
それ以前に私たちの意識の低さの問題だったのかもしれません。
ディスプレイの勉強に来ているのに、私たちはいったいどこを見ていたのか?
お花の仕入れ、飾り方、販売の仕方、音楽の選曲、色の配色、商品バランスとボリューム、ラッピングの数と色彩と質感、季節感、意外性、、
ポールスミスさんは厳しい表情で、もう一度確認させるために、そのお店に私たちを連れて行くのでした。
そのおかげで、今でも鮮明にそれぞれのお店のディスプレイを思い出せるのは、ポールスミスさんのおかげです。
▶▶▶第8話へつづく☆☆☆